京都の会だより

2019年9月号
9月7日更新




★日本凛塾合宿

昭和に始まり平成と続き、令和最初となった合宿が令和元年8月31日(土)から一泊二日、奈良の千光寺にて行われました

    

<コラム>木下代師範のつれづれ日誌

 近年、毎年夏の恒例企画になっている凛道・中国語教室合同での「収穫祭・入江先生の誕生日会」、
今回は8月1日(木)にずれ込み、訳あって入江先生不在の会となりました。
小松原道場で最も収穫出来たものと言えば、“ジャガイモ”。
去年と比べると倍以上!別の日に、ジャガイモの収穫は済ませて、籠に入れて保管。


 


タネ芋を残し、欲しい人に分けて頂いてもらい、残りは、ポテトサラダに。。。

 



自家栽培は、やはり美味しかった・・・

小松原道場の畑に、自然農法をベースに夏野菜を植えたものの、暑さと、時間がなかなか取れずということで、あまり収穫出来なかったという状態。
しかし、それでもトマトは毎年、それなりに実がなっていたのに、今年ミニトマトは全く実がつかなかった。
もう1個所の道場の畑でも、ミニトマトを少し植えてみたが、数個しか出来なかった・・・。
自宅でもミニトマトを少し植えてみたが、やはり殆ど出来なかった。
何人かの知人も、今年はトマト、ダメだったという話を聞いたので、どうも全体的に今年は不作になる条件が揃っていた模様。


本来なら、もう少し畑に時間を割くことが出来れば良いのにと思っていても、少ししかできないのが、やや悩ましいところです。
しかし、毎回思うのは、土や緑に触れることの大切さを感じます。

また収穫できるように、来年に向けて畑作業できる時間を見つけようと思っています。


続く




★連載企画第十六回「入江師範(凛塾京都の会顧問相談役)レポート」

 京都の会の重鎮であり、他派との積極的な交流など多方面で活躍されておられる入江師範の連載コラム。
内容はお任せです。


今年は縁あって3回渡米しました。
米国に関する情報は溢れているとはいえ、やはり百聞は一見に如かずですね。
以前体験したアフリカ社会、イスラム文化も言葉で伝えるのは難しいと感じていましたが、アメリカのことはかなり知っているつもりでした、
しかし体験しないとわからないことも多いですね。

米国は連邦としての国語の規定はないのですが、英語がデフォルトとも言い切れません。英語でまごまごしていると、すぐにスペイン語で話しかけられました。
武器に関して言えば、開拓時代からの伝統で自衛が原則ですからスーパーマーケットでも火器の購入が可能です。
競争社会、人種差別や貧困などの要因で治安も悪く、このような状況の中で身を守ることを考えなければなりません。
さらに身体的条件も考慮しなければなりません。圧倒的な体格差、ナイフや銃を所持している可能性、また麻薬などを常用し痛覚がマヒしている場合も考えられます。
伝統や文化、あるいは競技として武術を温存することも、ある条件の下では許されるでしょうが、武術に関わるものとしてはストリートファイト、戦闘といった局面を無視することはできません。
これはいわゆる実践的テクニックを習得するといったことではなく、もっとぎりぎりの、逃げられない、動きの取れない局面でどうするかの問題ですから、こうすればよいという正解はないかもしれません。

そこで、伝統的な型(形)を学び直す必要があります。様々な文化圏で、無数の動き、型、流派が誕生し、消えていきました。
消えた型や流派を知ることはできません、破れさり、淘汰されてしまったのですから。
反対に言えば、残され継承されている型は生き残った人が伝えた型であり、その経験を伝えようとしているのです。
 私たちは、上記のような絶望的局面を想定して、甘えや逃げ、言い訳けの許されない稽古をすると同時に、
稽古という言葉が意味する通り、生き残った型、流派が何を伝えようとしているか汲み取る必要があると、深く感じた渡米経験でした。 


 次回(2019年11月号)に続く



●凛道実技紹介<第20回> 

今回も引き続き「日常功」を紹介します。日常功は次のような内容になっています。

定功に「応掌 晴頭 練支 擦火掌 養干 周山」

立禅に「方 円 站桩 壬天 操丹 開密 蘇」   

*編者注・・・ 立禅のところで「站樁」と表記していましたが(上記の下線部)、
凛学の冊子では「站桩」となっていますので、凛学の冊子に 則って「站桩」表記に直しました。
以後「站桩」表記とします。(ちなみに「站樁」「站桩」、どちらも「たんとう」と読みます) 

 <練支 れんし>
 手の甲の薬指の延長の骨と、小指の延長の骨の間に(経穴の「中渚(ちゅうしょ)」の付近)もう一方の親指を当てて手を掴み(拡大写真)息を入れます。
「ハァー」と息を吐きながら、手を鳩尾(みぞおち)付近まで下ろしていき、手の掌を相手の方へ向けて腕を捻っていきます。
あまりキツくするのではなく、肘の辺りまで捻れている感覚があればいいので、ゆっくりと息を吐き、この形を7秒以上保ちます。
手を変えて逆も同じように行ないます。

    

次に手の甲の人差し指の延長の骨と、中指の延長の骨の間に、もう一方の手の親指を当てて手を掴み息を入れます。
そして息を「ハアー」と息を吐きながら腕を捻っていき、手の掌を相手の方を向けます。
このときも肘の辺りまでが捻れている感覚があれば良く、7秒以上息を吐きながら、このままでいます。
手を変えて逆も同じように行ないます。

  


次に胸の前で合掌し、息を入れて両手で三角形を作ります。
息を吐きながら五本指同士を合わせて両手を押し合います。
やはりこのときもユックリと息を吐き、この形を7秒以上保ちます。(左端の写真)

そして形はそのままで四指を相手に向け、同じように息を吸い、そして息を吐きながら両手で押し合います(左端から2番目の写真)。
そしてその手の形で四指を下に向け、同じように息を吸い、そして息を吐きながら両手を押し合います。
この時に手が下がりがちですが、鳩尾の高さを保つように注意して下さい(左から3番目の写真)。


最後に四指を自分に向けて息を吸い、そして息を吐きながら両手で押し合います(右端の写真)。

       

四指は左から順に「上相手側自分側」を向けます      

<擦火掌 さっかしょう> 

 両手を広げ体の前で「パン!」と合わし、息を「ハアー」と吐きながら両掌を擦り合わせていきます。
擦り合わせる際は、指と指の側面も擦り合わせますが、あくまで掌を擦り合わせることを主として下さい。

 

両手を「パン」と合わせます


 息を吸うときは力を抜いて、両掌の中にできるボール(イメージ)をこねます。
そして先ほどの指の側面が触れている状態を、内側・外側を反対に当てて(指を一本ずらして当てます)、
息を「ハアーッ」と吐きながら再び両掌を擦り合わせます。そして息を吸い力を抜いて両掌内のボールをこねます。
この動作を3~4回繰り返します。


 
手を擦り、ボールをこねる動作を繰り返します

 熱くなってきた両掌を、体の前で内から外へ回し擦っていきます。
徐々に横へスライドしていきながら、横から後ろに擦り回していきます。
手の熱いのが背中に移り、背中が熱くなってきたら左右の「腎愈(じんゆ。第2腰椎の両サイド)」に両掌を当てて、
まずは息を吸いながら後ろに倒していきます。
次に息を吸いながらその形のまま体を起こしていき、息を吐きながら上体を前屈していきます。
この時に背骨を伸ばし、顎を突き出して上体を倒していき、最後に力を抜いて頭を下げていきます。
そして息を吸い背中を丸めて上体を起こしていき、再び吐きながら上体を後ろに倒していきます。
この動作を3往復から4往復繰り返します。
  

 
両掌を体の前で擦ります


 
腎愈を両掌で擦ります(正面向きで行います)    

 
両掌を腎愈に当てて前屈していきます



 
両掌を腎愈に当てて後屈していきます   

 次に背骨を伸ばし、息を吐きながら横に回旋します。
上体を回し切れたら、そのままさらに首を回旋していきます。
息を吸いながら上体を正面に戻し、吐きながら反対に上体を回旋していきます。
回旋する側の脚(右回旋なら右脚)は上体を回旋したとき、足裏の位置が変わらない(流されない)ように注意して下さい。
反対の脚は回旋に合わせて踵を上げていきますが
、母趾球は地面につけたままにします。
これも3往復から4往復繰り返します。


そして息を吐きながら、力を抜いて上体を側方に倒していきます(側屈)。
上体を横に倒しきった後も、さらに頭の重みで側屈するように、吐くごとに力を抜いて頭の重さで下げていきます。
6回ほど息を吐いたら息を吸って上体を起こし、反対側も息を吐きながら同じ要領で行ないます。
いずれも腰は倒していく方向と反対側に突き出すようにします。

 
両掌を腎愈に当てて左右の回旋 


 
両掌を腎愈に当てて左右の側屈  




 <次回も「日常功」の予定です>        




「あおさんブラブラ歩(ある)記」  1回目・神戸関帝廟(小嶋・記)

 ・・・新企画というか、国内外問わず(ときに山も)撮った写真などを掲載しながらの、いろんな所をブラブラ歩いて散策した中から、気の向くままに取り上げるレポートです。
<気の向くままに>なので、「ブラブラ・ゆるゆる」、時にマニアックでもあり(ダラダラと説明を入れすぎて、文が長くならないように気は付けます)
写真等はリアルタイムのものが少ない(特に海外の場合は、相当古い写真も混合掲載)と思います。

関西の方には分かり切ってる在りきたりな所も多くなりそうなので、特に取り立ててどうというレポートでもないですが、宜しくお願いします・・・ 

 第1回目は、神戸南京町から北西に歩くこと約15分くらい(遠い・・)のところにある関帝廟(かんていびょう)です。
関帝廟をご存知の方は沢山いらっしゃいますが、ご存じない方のために簡単に説明すると、「関帝」とは中国の三国時代(西暦207年頃から約50年くらいを指します)、
蜀の国の皇帝・劉備玄徳の義兄弟で、五虎将軍の実質No.1と目された「関羽雲長」のことで、関帝廟とは関羽を祀った廟になります。
関羽は武将としても名だたる豪傑ですが知性にも富み、何より忠義の人として語り継がれ、特に商売をする人達にとっては「信義に厚い」関羽は崇拝の対象になっています。
もちろん商人だけでなく会社経営者や会社員、職人や料理人など多くの人々からも崇拝され、中国はもとより華僑の人達がいる中国国外の中華街には、ほぼ関羽を祀る廟があります。

 
本場・中国洛陽の関林廟(関帝廟総本山)です

阪神大震災の3年後。まだ一部傷跡がありました

神戸の関帝廟は、廟内で販売されている小冊子によれば、創設は1888年(明治21年)となっています。
1945年の大空襲、1977年の本堂の火事、1995年の阪神大震災などでダメージを負ったり消失したりがあったものの、その後はきれいに修復されています。
横浜の中華街&関帝廟に比べて、神戸の南京街&関帝廟は共に小さくこじんまりとしています。
真夏に訪れる場合は、元町駅付近から神戸関帝廟へ辿り着くだけで歩き疲れますが、
四阿(八本柱だけの休憩所。別名・清心亭)の椅子に腰掛け一息つくと、結構落ち着きます。

 

 
 
数年前の盆休み後(普度勝会?)に行くと、何かやっていました

 

 
神戸の関帝廟(左)と横浜の関帝廟(右)。大きさ、規模はだいぶ違います。


神戸関帝廟の休憩所、四阿(清心亭)

 *以下余談・・・ まだ韓流ブームが起こる前、香港映画全盛期の頃は南京町に中華雑貨店が沢山あり、
南京町近くにも香港タレントグッズやDVD・CDなどを取り扱う「香港王」という店もあって、それらの店内を順に見て回るだけで結構楽しめたのですが、
当時に比べて今ではニーズも変わり、南京町の中華雑貨店も食品系の陳列比率が高くなったり、コンビニに変わったり、中華レストランやテイクアウト店が増えたように思います。
最近は中華雑貨にかわりアジアン系の雑貨店が数店参入して今も健在、と時流を感じます。

そんな中で、香港映画スターのグッズや中国雑貨・衣類、カンフー服、中国武術用品も販売している「空龍(コンロン)」は貴重です。
(店長は香港映画にも出演されたことがあるようです)。
店の前には間寛平に似たブルース・リー(?)の人形があるので、ご存知の方も多数いらっしゃるかと思います。
中華雑貨では「空龍」の斜め向かいにある「東福 南京町本店」や、品数は多くないですが「好好(ハオハオ)」も健在です。

また、元町商店街(南京町から北へ歩いてすぐ)にあるミニシアター「元町映画館」では、アジア系映画をよく上映していて、
昨年夏に日本初上映当時の「ドラゴンへの道」復刻リバイバル上映をやってました。
マニアックな話をすると、この「ドラゴンへの道」復刻上映の際、ブルース・リーのコアなファンの間では著名な「ちゃうシンイチー」氏をゲストに迎え、
トークやグッズ販売会もやっていたりと、イベントとして気合が入ってました。
ここの劇場の上映ラインアップを見ていると、なかなか渋いところを突いているように思います。 


 (完)




 
<次回予告>

*京都の会 会員レポート
*入江師範の「武術雑感」(第17回)
*凛道実技紹介(第21回)・・・「日常功」その4
(あくまで予定です。変更の可能性あり)



※※凛道Tシャツ・引き続きプライスダウンで販売中。一枚2000円 → 1500円!
    練功着に普段着にと実はひっそり活躍しているオリジナルグッズ・凛道T。
  季節を問わず大活躍です。この機会にぜひ!
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   色: 白・若竹・桃

  

★次回の更新は2019年11月1日の予定です★

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